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【愛犬コラム】犬と共白髪

 

「顔の白い、柴犬がほしいんです」


私の知人は、そう切り出した。


これから犬を飼いたいという、
しかも柴犬を考えているという
知人からの相談に、
旅行と散歩以外は出不精の私も
すぐに約束を取り付けて
会うことにした。


柴犬愛ならそう負ける気がしない、
むしろ好きすぎて
ブリーダーにはなれないという
歪んだ愛着を持つ私にとって、
世の中に柴犬が増えることは
それだけで大きな喜びだ。


しかも知人が飼えば、
一緒に遊ばせてもらえるかも。
そりゃ、浮足立つってもの。

 

会って詳しく聞いてみると
顔の白い柴犬にこだわる理由は
どうやら旦那さまが幼い頃
一緒に育った柴犬が
「茶色で顔が白かった」から
らしい。

なるほど、そういうことか。

もしあなたが
柴犬を長年飼っている方なら
もうお分かりかもしれない。

実は子犬の頃から、顔が白い赤柴は少ない。
おそらくその子は、
もともと色白な子ではなく。

長生きした結果の、白髪だったのだ。

柴犬は歳をとるほど、
顔周りが白くなっていく傾向がある。

子犬の頃「ドロボウみたいでかわいい」
と言われる、あのマズル周りの黒毛さえ、
成犬になるとほぼなくなり、
シニアになるにつれ、
逆に白くなっていく。

最初真っ黒で「ツキノワグマ」と
呼ばれたウチの初代黒柴さえ、
シニアになればミッキー○ウスみたいな
グレー柴になるのだ。

 


番長と呼ばれるようになる半年ほど前の
初代犬子犬の頃

 


結局年を取ろうが恐れるものは何もなかった
元ヤン初代犬シニアの頃

 

なので子どもの頃ともに暮らした
懐かしい飼い犬の外見の記憶が
「顔が白かった」というのなら、
その子はとてもかわいがられて、
旦那さまが物心つく頃には
長生き白髪になっていたのだろう。

『そんな思い出を大切にしている
夫婦なら、新しく迎える柴犬も
かわいがってくれるだろうな』
と、なんだか心がほっこりした。

結婚するときなど
「共白髪」という言葉を
聞いた人もいるかもしれない。
「共に白髪になるまで、一緒に仲良く」
という意味が込められていると聞く。

犬ともまさに、そういう関係が理想で、
お互い老いても一緒にいようという
覚悟が必要だよなと、改めて思った。

 

愛犬家の皆さん、愛犬の皆さん、
どうかいつまでも
仲良く共白髪で、いきましょう。
まあ私は
白髪隠しのハイライトを入れまくって
悪あがきしてますけど。