旅犬

たびわんこ

【愛犬コラム】連れ子が、犬だった。

今日は犬連れ旅行はひと休み。

非常に個人的ながら、
タイトルにあるように
いつか誰かに届くかもしれない
経験談を書いてみようと思う。

「そんなレアな体験談、
書き残して誰の役に立つのやら」
と、パートナーの2号は失笑しているが、
当事者である僕(1号)には、
大きく人生を変える出来事だったに
違いないからだ。

 

 

■出会いのはじまり

まだ僕が愉快な独身生活を謳歌していた頃、
よくある出会いの一つ、
友人の紹介とか合コンとかいうヤツで、
2号と知り合った。
(今はアプリなんだよなあ、変化が速い。)

東京出身なのに関西のお笑いが好きな僕は
関西出身の2号と初対面から
馬が合ったつもり、だった。

そう、話は盛り上がっていたはずなのに
「じゃ、私帰るね!」と、
二次会にも出ずに早々帰って行ったのだ。

確かに仕事は忙しいだろう。
(今日も遅れてきたし。)
明日も朝から出勤だろう。
(僕も同業種だ。)

ただ、せっかく盛り上がったのに
そんなさっさと帰らなくても、というのが
正直な気持ちだった。

しかし、後でその理由を知ることになる。
2号には、その日もう一つ仕事があったのだ。

「犬にご飯をあげて、散歩に行く」
という、大事な仕事が。

 

 

■出会いが呼ぶ出会い


仲良くなってから、
2号は犬を飼う、というか、
犬と同居していることが分かった。
柴犬の女の子、しかも、もう12歳。

 

「賢すぎて犬格があるのを感じるから
飼っているとは言い難い、
むしろ私が居候みたいなもの」と
2号は笑う。

子どもの頃、太郎・次郎・三郎と
三頭も柴犬を飼っていた僕だが、
ぶっちゃけちゃんと世話をした覚えは
あまりない。
ただ、犬には好かれやすいし、
偶然とはいえ柴犬には慣れている。

大丈夫だろうと高を括っていた僕に
2号はしれっと言い放った。

「だから、ちょっとクセが強い子
なんだよねー。
今のところ、歴代の恋人も友達もほぼ、
気にくわないみたいで歓迎されてない。」


…そうきたか。
手ごわい連れ子だな。


■所詮犬、だけど


犬は自分のテリトリー内に
ズカズカ入ってくるものは拒絶しやすい、
ということで、初対面は
仕事帰りの夜散歩中に外で会うことに。

遠目から、聞き覚えていた犬の名前
「くまん」と呼ぶと
『はぁぁ~ん?誰ですか?』と
訝しい顔をしていたものの、
外面の良さが前面に出て、
ちょこちょこ寄ってくる連れ犬。

撫でていると『こっちも撫でて』と
自分で方向を変えたりするし、
意外と好感触だと思っていたら、
その後日、週末の暑い日中に
いっしょに散歩していると
犬自らスーッと進む先をリードして、
なぜかコンビニの前へ。

そこでちょこんとおすわりをして
涙腺をうるませた瞳で
こちらをまっすぐ見上げてきた。

なんだこれ、かわいい!
と見つめ返していると、
横にいた2号がひとこと。
「冷たいもの、買ってきて、だって」。

…くまんさんは、
僕の予想より、はるかに
上手だったのだ。


こんな感じで、いつもおねだりしてきたなぁ


■仲良くなるのもラクじゃない

そんなこんなで、くまんさんにとって
主に『おやつをくれる良いおじさん』
というポジションをゲットした僕は、
無事一緒に暮らす試験に合格したよう。

家に行くたびにしっぽを振って
歓迎されるようになり、
一緒に遊ぶ時間も増えた。


彼女はすでに犬でいうとシニアではあったが
まだまだ元気で、よく食べる子。

ご飯どきは食べるというより
吸い込むといった勢いでがっつく。

そして毎度、
食後に態度が豹変する。


「ぅわぁぁぉぉーん!」

と、普段の温厚な姿とは真逆の、
何か取り憑いたのかと思うほどの落差。
ギズモがグレムリンに変身する、
ちょうどあんな感じだ。

最初、僕はその姿に心底びっくりした。
本当に別犬格になったかのような、
超アクロバティックなゾンビ誕生を
見たかのような。

しかし慣れている2号は、
オソロシイ顔をして
何もない空に対して唸り吠えながら
自分の足にしがみついているくまんさんを
引きずりながら平然と歩く。

慣れていない僕から見たら、
さながら地獄絵図だ。
『なんだこの状態は』と混乱してしまう。

「気にしないでー。
こんなんだけど、噛んだことは
一度もないから」
足元で狂ったように絶叫し続ける柴犬など
存在しないかのように
2号は洗い物など始めるが、
なぜこんなに犬が吠えるのか、
訳が分かない僕には
状況が呑み込めなかった。
(ちなみに2号にも理由は不明だそう)

 


■寝かせてほしいとケンカ

 

さてこのくまんさん、
しばらくすると吠えるタイミングがもう2つ、
あることが判明した。

2号は犬と一緒に寝ない派なのだが、
僕は早く連れ犬と仲良くなりたかったし、
彼女(くまん)も『一緒に寝るです』と
言ってくれるので、
早々からくまんと一緒に寝るようになった。

しかしこの連れ犬、
自ら布団に潜り込むくせに、
眠りを邪魔されると怒るのだ。

彼女が熟睡中に隣で寝返りを打とうものなら
「ワン!ワワン!」と大声で苦情鳴き。
トイレに行くにも「ヴーー、ワワワン!」
とくる。

 

犬にそこまで吠えられる体験は
僕の人生上になかったので、
毎回驚くし、正直コワイ。
特に夜中、真っ暗な部屋でやられると
心臓が誤作動を起こすんじゃないか
と思うほど。

しかし、こちらの心労など
くまんは一切お構いなく、
自分が不快なら吠える、
でもめげずに繰り返し寄ってくる。

何度も眠りを妨げられて僕も頭にきたので
ときどき深夜にケンカした。

「連れ子が犬ってのも、ラクじゃないなあ」
と思いつつ。
一筋縄ではいかないくまんの個性に、
不思議な魅力を感じつつあるのも、
また事実だった。


■ そんなくまんに騙されて?

結局、くまんが受け入れた
希少な存在として認められた僕は、
結婚して一気に家族が2人増えた。

くまんの吠え癖のうち、食後と
彼女の熟睡中に蹴ってしまった際の吠えは
止まらなかったものの、
他は収まったことで
僕もすっかり慣れていき、
吠えてしがみつくくまんを引きずりながら
歩けるまでに成長。

くつろぐときは
ずっと2号に引っ付いていたくまんも、
徐々に僕に引っ付くようになり、
結局すっかり僕にべったりな子に
なっていった。

 

それと同時に、出会う以前から
くまんの体にあったハゲに
少しずつ毛が生えるようになり、
すっかりきれいになったことは
文字通り見違える変化だった。


Before

 


After!


いろんな治療法を試しても
ダメだったのにと
獣医さんも驚いていたが。

おそらく、くまんはずっと
2号と2人暮らしで
『2号を守らなきゃ』という意識が
犬一倍強かったものの、
一方で加齢による自分の衰えも感じて
心配やストレスが溜まっていたのだろう、
とのこと。

2号は「そんなに頼りないか、私?」と
少々ご不満のようだったが、
くまんに聞けたならきっと、
「頼りないです」と答えたんだろう。

懸案のハゲも治り、
すっかり僕派になったくまんのかわいさが、
自分の中でますます増したことは、
言うまでもない。


マッサージすると、いつもこんな笑顔😊




■ 連れ子が犬の方へ

まあ、連れ子が猫でもなく犬な人は、
とても稀有だろうが…。

念のため、経験して思ったことを。


① 初対面はなるべく外で。
  できれば慣れるまでは外で会う。
 (特に気の強い連れ犬の場合、テリトリーに
 入ることを許されるまではその方が無難)

② 初期のうちになるべく一緒に過ごす
 ( 人と同じ。お互いが一定に分かり合えるまで
  密なコミュニケーションを)


③ 愛情を注ぎ続ける
 (これも人と同じ?もし無理なら連れ犬を
  幸せにできないので早めに引くべし)

犬とはいえ、一緒に暮していると
やっぱり家族。
最初は連れ子(犬)であり、
連れ添ってきた飼い主との絆の違いもあって
違和感があるかもしれないが、
それは当然のことで、
何も悪く思う必要はない。

ただもししばらく経っても
飼い主と同様できればそれ以上に
愛せないようなら、
早めに身を引いてあげるのが
お互いのためだ。

僕を迎え入れてくれた連れ犬である
くまんはもう、
残念ながら亡くなってしまったが、
その後も子孫を探して迎えたほど、
今もかけがえのない存在になっている。

僕が2号との出会いを通して
くまんという特別な家族を得たように、
他の誰かにも、新しい出会いが
2倍になることがあればと願う。

特に気が強くてなつきにくい
柴犬が連れ子という奇跡を引き当てた方、
大変さも人一倍と思われるものの、
乗り越えられたらめっちゃくちゃ、
かわいいぞー!

ぜひそのときを、楽しみにしていてほしい。


また、会いたいぞ!くまん

 

 

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